従来の「お役所仕事」をアップデートする
地域おこし協力隊としてのシティプロモーション業務

はじめまして。白河市地域おこし協力隊の募集ページをご覧頂きありがとうございます。この記事は白河市地域おこし協力隊として令和2年4月から活動する久野 宏(くの ひろし)が実体験をもとに執筆しています。

突然ですが、「お役所仕事」という言葉を聞いたことがありますか?

メディアなどでもお馴染みのこの言葉、一般的な辞書などでは「形式や順序を重視することで時間と工数を要し、融通が効かない仕事」といった意味で説明されています。さらに、「不親切」という一言が加わることもあるようです。

 

これを読んでいる方々でも、役所に対してあまり良いイメージを持っていない方も少なくないかもしれません。定時で帰宅、規定の業務以外は行わない、窓口のたらい回し……。実際のご自身の体験や、いわゆるメディアなどで報じられるイメージもそうした印象を強化しているかもしれません。自治体の業務は本来、地域住民に向けたサービス業という側面もあるはずですが、硬直的で融通が効かないケースもあり、いわゆる辞書に記載されている「不親切」という言葉を感じさせることもあります。私も役所に対して、あまり良い印象を持っていなかったのが実際のところです。

地域おこし協力隊で知った「お役所仕事」の本質

そんな私が今、ご縁あって地域おこし協力隊として市役所の端くれとして活動しています。地域おこし協力隊は役所の内部でも活動しますが、その活動をとおして、これまでの役所の業務への認識を改めつつあります。

例えば、地域住民に根ざしたサービスを行う支所では、住民票の発行や福祉関連の対応などの基礎的なサービスに加え、災害が想定される際には待機して迅速な行動に備えます。また、地域の不法投棄物の処理や、市道で車に轢かれた動物死骸の処理、迷い犬・猫などペットの保護といったことまで行うことも。

山間を開拓した田園風景が白河の各地域に点在しています

また、事務部門では予算を適切に執行するために、さまざまな関係者と協議を行い、最適化を目指します。中長期のビジョンを持ちつつも直近の課題解決とのバランスも考慮するなど、相反しがちで複雑な問題と日々対峙しています。

関係各所と調整を行い、かつミスがないように徹底的にチェックするため、どうしてもその工数は膨れがち。しかし、ミスが発生した際には地域住民に迷惑がかかるため、こうしたプロセスは欠かすことができません。まさに「お役所仕事」という業務の進め方が丁寧にミスのないよう進めている結果として生じているものであり、このような背景が元になっていることを実感するようになりました。

地域おこし協力隊は自治体のサポートなしでは語れない

私が地域おこし協力隊として活動して1年半あまり。地域資源を再定義するイベントの実施から、遊休施設を利用したコミュニティスペースの開設まで、さまざまな活動を行ってきましたが、この活動を裏で支えてくれていたのが市役所の方々です。

役所の方々のサポートを受けて開催に至った地域資源再定義のイベントの例

地域には一市民の立場では問題の糸口すら見つけられず、解決が難しい事案も数多く存在します。そのような複雑に入り組んだ事案では、解決のために一つひとつ課題をクリアしていくことで、地域おこし協力隊の活動は可能となります。実際、長期間にわたって利用されていなかったスペースをコミュニティスペース「温室」に改修した時にサポートの必要性を強く感じました。

コミュニティスペース「温室」の調整業務は役所が全面的にサポート

逆に言えば、そのようなサポートがなければ、地域おこし協力隊の活動範囲は大幅に制限されてしまいかねません。実際、他の自治体での活動状況を聞くと、そういったサポートが受けられず、活動が停滞しているといった声は枚挙にいとまがありません。そして、地域おこし協力隊の受け入れが成功している自治体では多くの場合、役所が適切に協力隊のサポートを行っているようです。

そういった視点を加えた上で個人的な経験を踏まえると、白河市という自治体は地域おこし協力隊にとって、活動しやすいフィールドであると感じています。

地方公務員という特性ゆえに高めづらい専門性

しかし、どれほど地域おこし協力隊にとって活動しやすい自治体でも、地方公務員という立場では専門的なスキルを高めるのは難しいのが現実です。というのも、地方公務員はそれぞれ住民の方から付託された税金を使ったミッションを背負い、業務と対峙します。そして昨今、限られた人材での対応を余儀なくされている状況もあります。また、定期的に配置転換も行われます。このような複合的な要因が絡み合うため、任期ごとのミッションに手いっぱいとなり、専門的なスキルが高めづらいのです。

専門性が高い分野をエキスパートへ依頼するという動きも最近は進み、民間企業への委託も広がっています。しかし、行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の動向において新聞やテレビなどでも取りざたされたように、専門性が高くない人材がそうした業務を推進することでの問題も少なくありません。

今回、白河市が地域おこし協力隊として募集を行う「シティプロモーション」という業務も専門性が求められる分野です。しかし、先のような事情もあり、地方公務員の中から専門性の高い人材を配置することはなかなか現実的ではありません。そこで今回、白河市では地域おこし協力隊としてシティプロモーションの職務を担ってくれる人材を募集することとなりました。

白河市のシティプロモーションが目指す二つの目標

白河市の考えるシティプロモーションとは、いわゆるシビックプライドの醸成という観点に加え、関係人口の強化という二つの目標を有します。地域の内外に向けて発信業務を行うという点では従来と変わりませんが、戦略的にそうした業務を行うという点で大きく異なります。

デジタルマーケティングという新たなマーケティング手法が登場してから20年あまり。当初はウェブサイト上での単純なバナー掲出やテキストリンクの貼り込みだけだった広告の方法は大きく進化し、行動ターゲティングは当たり前。最近では過去の閲覧履歴をもとに、ディープラーニングを用いたユーザーの趣向を分析した広告が展開できるようになっています。また、ウェブサイトのヘルスチェックとして利用されるGoogle Analyticsも登場当初から大幅に進化し、アクセス解析という言葉自体も馴染みあるものとなりました。また、MA(マーケティングオートメーション)ツールやレコメンドエンジン、CMSなどを組み合わせたコンテンツ最適化も一般的になりました。

このように数多くある選択肢から何をチョイスし、実行していくことが目的への最短プロセスになるのか。その解決策は専門性が高い人材でなければ導き出せません。また、実行にあたって生じる各種問題の解決にはこれまでの経験値も問われます。行政のDX化が待ったなしの状況となり、自治体における発信業務も一層のデジタル化が求められる時代となりました。白河市としてもその方向性に舵を切るべく取り組みを進めていますが、よりコミットするためにも専門性の高い方のサポートを必要としているのです。

ひとつ、ひとつ、着実に進めていってほしい

今回のシティプロモーション業務について、正直なところで報酬は高くありません。民間企業で同様の業務を受託するほうが遥かに稼げることは言うまでもないことです。昨今、社会的責任という時代の流れからプロボノ的な関わり方をキャリアに組み込む人々も増えてきました。白河市の本業務についても、そういった姿勢でコミット頂ける方を探しています。

福島県は今、震災から10年を経過し、次の10年の新スローガンを「ひとつ、ひとつ、実現するふくしま」と定め動き出しています。本業務についても、白河市はもちろんのこと、福島県全体を盛り上げることにつながる業務です。お願いする業務はとても重たいものであり、一朝一夕でクリアできるものではなく、時間をかけていくことが求められます。

「ひとつ、ひとつ、実現する人に来てほしい。」

私たちは心からそう願っています。

白河市地域おこし協力隊「シティプロモーション」担当の募集詳細

業務概要 白河市の魅力を外部視点で再発掘し、デジタルマーケティングの手法を用いながら広く発信し、関係人口や移住者などの増加につなげることが目標となります。具体的には以下のような業務を想定しています。

・各課で取り扱っているSNS等の効果検証及びクオリティの均一化
・ターゲットに訴求した文章作り及び編集
・検索キーワードの選定など効果的なSEO対策の実施
・外注している広告の掲載結果の精査
・ウェブ関連予算の費用対効果の検証
・所属部署を超えたプロモーション戦略の立案
・戦略の実行とPDCAを通じた施策の改善
募集対象 事業会社および広告代理店、制作会社などでのデジタルマーケティング経験者。
募集人数 1名(充当次第、募集は締め切ります)
選考方法 1次選考(書類審査) → 2次選考(市内訪問及び意見交換)→3次選考(面接審査)
応募はこちらから

この記事の執筆者

久野 宏(Hiroshi Quno)

白河市地域おこし協力隊 / コミュニティスペース「温室」プロデューサー

ウェブ業界でのセールス、マーケ、ディレクター経験を経て2017年からフリーランスとして独立。国内外のBtoB企業などへウェブを活用したプロモーションの支援を行う。プライベートでは、クラブ音楽業界でのイベントを多数主催。自身もDJとして都内クラブやDJバー、野外イベントなどでプレイする。
2020年春に福島県白河市へ移住し、地域おこし協力隊との複業に挑戦。コミュニティスペース「温室」にて、地域の内外を「つなぐ」仕掛けを模索中。

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